2015.10.23 掲載
vol3
佐渡市地域おこし協力隊
小川佳奈子さん
佐渡市在住
vol3
神奈川県横浜市出身。大学を卒業して、社会人を経験した後、英国に2年滞在。英国で無農薬野菜と出会い農業を仕事にと考えるように。そんな折、佐渡の地域おこし協力隊を知り応募。2013年10月から協力隊メンバーとして活動をスタート。新穂地区を担当。
第1回、第2回のコラムで、私がなぜ佐渡市地域おこし協力隊になったのか、その経緯や、地域おこし協力隊として佐渡に移住をしての本音やメリットをお話させて頂きました。私の場合、移住の「足がかり」として選んだ地域おこしという仕事。実際、その中身について深く考えることなく、「私にも何かできそう」という直感だけで応募してしまったので、着任後は、「地域おこしって何をもって地域おこしなの?」という問いに悶々とする日々を過ごしてきました。協力隊3年目に突入した今、ようやく「地域おこしって十人十色でいいんだ」と思えるようになりました。このコラムを読んで下さっている方の中で、どれだけの方が地域おこし協力隊という仕事に興味をお持ちか分かりませんが、今回は私の仕事の一部分ついて、ちょっと書いてみたいと思います。
私が担当している新穂地区は、佐渡島のなかでも米どころと言われる国仲平野に位置しています。田んぼと里山の風景がのどかで美しく、野生のトキにも出会える確率が高い地域です。地区内に21集落、約4,000人が暮らしており、担当者1人で見るには広すぎる、という印象を始めから持っていました。それでも、最初の1年は地域で活動するあらゆる団体のもとへお邪魔したり、一集落にどっぷり入ってみる、ということもやりました。地域に積極的に出ていき、様々なところに関わらせてもらうことで、人とのつながりや土地勘を得ることができました。ただ、1年経って自分の活動を振り返ったとき、自分が本来やりたかったことを見失ってはいないかと、疑問に思うようになりました。いくら自分の仕事の相手が「地域」だとしても、そこに入っていくことばかりに注力してしまうと、3年という限られた時間はあっという間に過ぎてしまいます。3年後の保証が何もない協力隊にとって、地域との関わり方、自分の立ち位置を明確にしていくことは、その土地に根を下ろすために、とても重要な工程だと思います。
自分が本来やりたかったことを、活動の中でかたちにすることができるようになったのは、2年目になってからでした。佐渡には、恵まれた自然環境や、昔ながらの里山や農村文化が残っています。その価値が評価されたのが、2011年の世界農業遺産(GIAHS)認定だったわけですが、実際島に暮らしていると、その価値にいまいちピンッと来ないようなところがありました。生活の中に当たり前にあるものや、景色などが、実はかけがえのないものであるということを、もっと子どもたちに伝えたい。そんな思いを抱えていた私に、声をかけてくれたのが、島内で小学生向けに環境教育を行っている(一社)佐渡生きもの語り研究所(以下、生きもの研)さんでした。子どもだけでなく、親子で楽しく参加でき、GIAHS的な要素に触れてもらえる参加型ツアーを年4回シリーズで企画しました。その名も「親子で楽しむ♪佐渡めぐり塾」。気づかないけれど身近にある自然の恵みを一つ一つ巡りながら体で体感してもらえたら…そんな思いで名付けました。佐渡市役所や地元の方々、開催地で活躍する協力隊の子にも加わってもらい、第1回は、6月末に岩首の昇竜棚田と竹林をテーマに開催することができました。新潟市からも親子で参加して下さった方もいて、企画した側としては、とても嬉しいスタートを切ることができました。内容に詰めの甘さはありましたが、次に繋がる回になりました。
めぐり塾第2回目は、私の担当地区である新穂での開催です。佐渡のGIAHSに欠かせないトキたちと、彼らの大事な餌場となっている田んぼがテーマです。環境省のレンジャーさんや獣医さんにも加わってもらい、「トキとの共生」についてもう一度考えるきっかけ作りになればと思っています。これまでトキの保護や、野生復帰に取り組んで来られた方々の思いを、若い世代へと伝えていく機会にもなればと願っています。
地域おこし協力隊の仕事は、十人十色。そう思えるようになってから、自分に与えられているミッションのなかで、どう自分が関われるか、何をしたいのかを整理できるようになりました。佐渡めぐり塾も、私なりの視点で佐渡の魅力を伝えていけたらと思っています。
◯第2回親子で楽しむ♪佐渡めぐり塾の申し込み&問い合わせ◯
※基本的に島内の小・中学生とその親御さん対象ですが、島外の方も、ご興味ありましたら一度ご相談ください!
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