2013.03.27 掲載
vol4
新潟市岩室観光施設 いわむろや勤務
小倉壮平さん
新潟市
vol4
2002年の冬に、武蔵野美術大学の学生として岩室温泉に関わり始めてから9年。現在「新潟市岩室観光施設いわむろや」の館長として、施設の管理運営、地域活動や岩室の観光に関する仕事をしている。
私は、観光施設の運営と地域事業を主として仕事をしているのですが、気をつけていることは、ワクワクする自分のセンサーの感度を上げることや、分け隔てなく考え、繋げていくことです。そして、チャレンジした成果よりも(実際に地域に役立てたかどうかはすぐに測りきれないです)、常に地域のためにという「希望」をもって取り組む姿勢が必要なのだと思います。
何も専門的な技術を持っていない私が、ここに来て一体何ができるのだろうか、と不安から始まった岩室温泉での新生活でした。ですが、レジや接客についてはファーストフード店でのアルバイト経験が、イベントについては学生時代のプロジェクトやデザインの経験がすごく役に立って、何事も無駄じゃなかったと学びました。体ひとつでなんとかなるもんだという教訓は、いつも背中を押してくれます。
こういう仕事をしていると、よく「どんな理想を持って仕事をしていますか?」と聞かれますが、私の目指すべきものは、指し示したものに向かって進む明確な理想ではなくて、今踏み出す一歩先がこうなったらいいなという曖昧な形のものです。数百人の暮らしひとつひとつの集合体がこの地域の形なので、私の小さな想像力で地域をまとめたくはありません。仲間とともに一歩進む度に更新され、以前よりもはるかに良くなるように、努力を続けようと思っています。
岩室温泉は今年、開湯300年の節目の年を迎えました。観光施設いわむろやも、開館からのこの3年間で、月例イベント、まち歩き、農家レストラン、菜の花など住民が参加協力する多くの事業が誕生しました。このように、自分たちでできることから始めた結果、地域づくりのノウハウを確実に吸収してきました。これからは、それらをいかに継続できるかがポイントになりそうです。土台をつくる活動から、前進・継続する活動へとシフトチェンジを図り、特に連携の枠をもう一歩広めて様々な連鎖反応が起こるような活動を行っていきます。1〜2年後の岩室温泉は本当に楽しみです!
これまでの活動の中で、改めて感謝したいのは仲間・友人の存在です。岩室温泉に来て1年目、私が困ったときには、大学の同期が数ヶ月一緒に働いて助けてくれました。また、毎月のイベントが行えるのも、NPOメンバーや地元商工会青年部の存在なしではあり得ません。ここに来て、私は本当に良い出会いに恵まれたと思います。地元のために損得抜きで動いてくれる人がいて、手を取り合い、知恵を出し合えるのは、この地域の強さではないでしょうか。働いていてとても気持ちがいいんです。
自分を支えてくれる一人一人に心から感謝していますし、それがまた、この地域を元気にしたいというモチベーションに繋がっています。ここには地域で働く喜びがあります。
新しい働き方というテーマにすごく悩んだのですが、私の場合は、「新しい」というよりも「自然な」というイメージが近いと思います。地域の中で仕事ができること、頼ってくれる人がいること、新しい刺激を受けて満足感が得られること、そういう色々なものが相まって、今の仕事が楽しみにつながっています。
稚拙な話でしたが、新潟での暮らしの魅力が少しでも伝わればいいなと思います。この機会をくださったniiGET関係者の皆様、最後まで拝読いただいた読者の皆様、ありがとうございました。
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