2010.12.28 掲載
新潟県には全国に誇れるものがたくさんあります。中でも「食」に関しては自信を持ってお勧めできる逸品が多い。こうした新潟のいいモノを発信し続けている方をご紹介します。新潟の誇れるものを探しに出かけませんか。
新潟の“いいモノ、いい人、いい所”を発信し続けているNPO法人Madein越後代表の真島一さんにお話をお聞きしました。
「農家の長男として旧西川町に生まれ、当たり前のように農家を継ぐのかなと思っていましたが、サラリーマンを始めてから関東へ転勤し、新潟の良さに気づきました。関東の冬は晴天が続き、確かに過ごしやすい。でも新潟は冬が厳しい分、春が待ち遠しく、春の喜びがとても大きいものです。季節は、春ばかり続かず、暑い夏が来るけれど、実りの秋が待っている。人生も同じかもしれません。冬のあとには必ず春が来ますよね。」
田んぼも四季をはっきり感じることができる一つであると真島さんはいいます。「田んぼは田植え時期になると水面が輝いているし、夏は緑、収穫期には一面が黄金色に染まります。 “宝物”の語源は“田から取れたもの”という意味もあるそうです。だから田んぼは人間にとっても生物にとっても宝物が詰まっている所なのです。東京で仕事に追われていた知人が帰省して来たときに、越後平野に癒やされ、また頑張ろうという気持ちになったと言っていました。確かに輝く稲穂や一面の銀世界から感動をもらって帰るという声をよく聞きます。一歩外に出ると、今まで当たり前だったものがよく見えてくるのかもしれません。」
NPO法人を設立したきっかけをお聞きしました。「2000年に新潟にUターンしてきたのですが、その後、2001年9・11のテロとそれに続くアフガニスタンへの空爆のニュースを聞く度に、心が痛みました。どうして何も関係のない人たちが犠牲にならなければいけないのか、自分たちに何かできることはないのかと考えました。それでチャリティコンサートを開催したのですが、このとき、多くのメンバーが賛同してくれました。何か始めようとすると新潟は支えてくれる人が多いですよね。こうしたメンバーで集まると、新潟の話で盛り上がります。新潟はいいモノがいっぱい詰まった玉手箱だと。それなのにPRがイマイチ。だったら自分たちでやってみようという気持ちからNPOを立ち上げ、新潟を売り出す総合プロデューサーになろうと考えました。」
NPO法人Madein越後の主な事業は、①直売店運営(田から屋、お宝市場クチコム)②コミュニティ宅配③インターネット通信販売④親子料理教室⑤エコポイント交換事業⑥定例のがっと(GAT)会などがあります。中でも“ワンデイシェフの店コミュニティハウス田から屋”はこれまでの“田から屋”を10月にリニューアルオープンしたものです。
「店に登録したシェフが日替わりで調理を担当してランチやディナーを提供するワンデイシェフの仕組みは三重県四日市のNPOが考案したのですが、この取組を聞いたときに「これだ!」と思ったんです。自分たちがやりたかった街中で食を通じたコミュニティの再生がまさにこの仕組みにあったのです。そんなことを相談に伺った先で、その主宰者を紹介してもらえてノウハウをお聞きし、ようやくオープンに至りました。」
シェフは誰でも登録できるそうです。現在28名が登録していますが、料理好きの主婦、野菜ソムリエ、アナウンサーの方など様々。ルールは2週間に1回を超えてシェフを担当できないことと最低20食は提供することの2点のみ。お話をお聞かせいただいた日もランチは予約のお客さんだけでいっぱいに。お昼どき、田から屋さんでは、人の流れとおしゃべり、そして笑顔がたえることはありませんでした。大盛況の理由を聞くと「新潟では初の試みなので注目度が高い。シェフが毎日変わるので飽きが来ないですよね。旬の食材を使ってシェフが自分の得意分野を生かしてアレンジしていきます。また、シェフが友達を呼んで来たりすることも理由の一つですね。」
“誰もが輝く舞台”がコンセプトという田から屋。「日頃家庭で食事を提供しても家族からはおいしいといってもらえない。でもここでは旬の食材に手間を加えることでおいしいと感謝されお金もいただける。シェフも輝けるし、利用する側も笑顔になる。ランチタイム後は写真展、お笑い法律講座、キャンドルづくりといった企画で使用されることも多いのですが、ここでも講師が輝くし、参加者も元気になる。誰もが輝ける舞台をこれから市内や県内に広げていきたいですね。」とお話してくれた真島さん、次はどんな舞台が創られるのかとても楽しみです。
新潟は、自分たちにできることは何かと模索しながらも一歩踏み出すとサポートしてくれる人が多い地域です。そして、新潟には宝といえる人、モノ、場所がたくさんあります。新潟の宝物をみなさんはいくつ言うことがでますか。県外に出てみると、意外とみえてくるものがあるのかもしれません。新潟の宝物をもう一度探しに出かけませんか。
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