2009.07.27 掲載
後編
後編
第23話「芸術祭のある暮らし(夏号)」の「その2」と題し、大地の芸術祭のみどころを特集します。アート作品と並んで、明日の自分を考えるヒントを示すかのようなパフォーマンスの高い、知られざる芸術祭の魅力も紹介します。
第4回目となる今回は、廃校、空家プロジェクトが一層充実し、世界のトップシーンで活躍する国内外のアーティストたちも、妻有で意欲的な作品を展開しています。
大地の芸術祭のアート作品への評価は様々な場面で取上げられるようになり、多くの方々が今回も、アートに導かれ里山を旅する楽しさを満喫するために越後妻有へと足を運ばれることと思います。
こうしたアート作品と並んで、越後妻有・大地の芸術祭ならではのステージパフォーマンスやワークショップ等も、他では体験できないような感動と明日の自分を考えるヒントを示すかのように多彩に繰り広げられます。そうした、知られざる芸術祭の魅力を少し紹介します。
なお、イベントのお問い合わせは、まつだい農舞台内「大地の芸術祭の里」総合案内所まで。 TEL:025-595-6688 FAX:025-595-6181
これまでお年寄りと国内外のアーティストとのコラボレーションが前面に出ることが多かった大地の芸術祭のパフォーマンスですが、今回、「豪雪JAM」「チャリロック」など独自のイベントを発信してきた十日町の若者たちが音楽とアートのフェスティバル「ミドリ祭り」を立ち上げ、そこにアムステルダムの若者たちの才能を育てるオランダの「NOWHERE ノーウェア」のシンガーたちが参加。地元のダンサーとオランダのシンガーたちがともにつくりあげるステージが見ものです。
NOWHEREって?
アムステルダムの若者をぐいぐい引きつけて離さないカルチャープロダクションがあります。
国を代表するトップアーティストを講師に、最先端のシステムを使ってパフォーミングアートや美術を若者に教え、しかも15歳から25歳の若者なら誰でもそのカリキュラムに入ることができる―そんな夢のような話がオランダにはあるのです。それが「ノーウェアNOWHERE」。若者に夢を与え、潜在能力を引き出して発表の場を与えることは、単に若者たちの活性化にとどまらず、アムステルダム、ひいてはオランダ全体のエナジーを一気に増幅させることも可能になる―。そうした長期的展望をもち、若者とがっぷり四つになろうというオランダという国の底知れぬパワーを感じずにはいられません。
日時:8月1日(土)12:00~ オールナイト!
会場:なぐも原結いの里(十日町市伊達丙)
出演:ノーウェア、ラッパ我リヤ、ラビラビほか
料金:一般前売り2000円、当日2500円 ※高校生以下、60歳以上は無料!
長かった内戦、地雷被害、ポルポト政権独裁の傷あとからようやく立ち直りつつあるカンボジアですが、無惨な手段により家族らを失った子どもたちが心に負った傷の深さは、その経験を持たない者からは想像だにできないものでした。傷ついた子ども達に生きる希望と生きるすべを与えようと、バッタンバン郊外にあるNGOファー・ポンルー・セルパク(PPS)は日々福祉活動を続け、絵画や音楽、普通教育など、様々な教育分野に取り組んできましたが、とりわけ心に深い傷を負ったども達の傷は癒えることがなく、言葉や表情、感情表現を失ったままでした。彼らの心を動かすにはどうしたら良いのか? 頭を悩ませ、そして思いついたのです。
それは、「サーカス」。
自らテコンドーや柔道など武術を学んでいたNGOの創立者クン・デットは早速、プノンペンの国立サーカスに赴き、自ら研修を受け、指導者を連れて郷土に戻り、サーカス教育を始めたのです。そして、サーカスという身体を極限まで駆使し表現するサーカスだけが持つ強い「ちから」が、子どもたちの心を掴んだのでした。サーカスの本場、フランスのNPOも当初からこの活動を支えてきました。指導者を派遣し、PPSの若者たちはみるみる技術をつけただけでなく、フランスの「新しいサーカス(Nouveau Cirque)」の影響を受け、伝統舞踊や音楽などカンボジアの文化を見事に織り込んだ独自のサーカスを編み出していきます。カンボジア国内はもとより、フランスをはじめとする国外にも活躍の場を広げた彼らは、いまやプロフェッショナルとして世界各国で喝采を浴び続けています。
今回、大地の芸術祭では、遠く離れたステージで演じられる通常のサーカス鑑賞とは異なり、「まつだい農舞台」ピロティの舞台で、間近にその身体表現の極限の美しさ、強さを感じていただくことができます。
日時:8月13日(木)~16日(日)
会場:まつだい農舞台 ピロティ(十日町市松代)
料金:一般 前売り2500円、当日3000円
高校生以下、65歳以上 前売り1500円、当日2000円
蛭子と傀儡子―映像とコンサート(富山妙子) ピアノ:高橋悠治ほか
日時:8月8日(土) 19:00~
会場:/旧清津峡小学校(十日町市角間)
料金:一般 2000円
日時:8月9日(日) 17:30~
会場:まつだい農舞台 ピロティ(十日町市松代)
料金:一般 前売り1500円、当日1800円
日時:8月22日(土) 18:30~
会場:まつだい農舞台 ピロティ(十日町市松代)
料金:一般 前売り2500円、当日3000円
語り伝へ唄い繋ぐ日本の心情―UA・人形浄瑠璃・能からのPeaceful Message-
日時:8月30日(日) 18:00~
会場:まつだい農舞台 ピロティ(十日町市松代)
料金:一般 前売り3000円、当日3500円
うまくいかないことのほうが多い。だから人は、次を考えるし悩んでいける。
「擦過」が生む新しいこと。妻有という場所で小さな機会が積み重なって「渦」ができはじめているのかもしれません。「渦」ができなければ、なにも始まりません。ものが、人が、関係が、動かないからです。
不特定多数のために、では、人は必死にはなれない。あなたのために、あの人のために、だから、ちょっと無謀なことも時には出来たりする。細谷さんの少し戸惑うような話し方に、「補いあって毎日を暮らす生活」とは何なのかを改めて考えました。
作業歌、相聞歌。。。私たちは古来より、作業の苦しさを紛らわすために、作業の合いの手をあわせるために、ものができあがった喜びを伝えるために、大切な人に今の自分の気持ちを正直に伝えるために、歌を歌ってきました。時には振りを交え、絵を添え、上手い下手、ではなく、その人自身の声や言葉であるかどうか、相手と心通わせることができるかどうかが、歌にとっては重要でした。そんな歌を私たちは今歌えているのでしょうか。
大地の芸術祭を巡ると、「え?これがアート?」「なんでもありなの?」といった声を思わずあげる方に出会うことがあります。記号化された今の私たちの日常から、様々な周囲のことやものが、ひとつところでいくつもつながりあっている、ことに少しだけ思いを馳せていきたい。。。 皆さんのお話を伺いながら、そう思いました。
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