2009.03.31 掲載
未曾有の経済不況で、雇用情勢は厳しい状況が続いています。
こんな時こそ、いままで踏み切れなかった自分らしい仕事や暮らしに挑戦するチャンスかもしれません。
生活の基盤となる自然環境、ものづくりの技術、地域のコミュニティが残る新潟で、今こそ夢にチャレンジしてみませんか。
人々の価値観が多様化している今、大量、一律のものづくりやサービスでは拾いきれないニーズがたくさんあります。
大都市とは風土、慣習、インフラ等の異なる新潟には、首都圏の企業が思いもつかないニーズがあり、様々な技術やノウハウをもった人材が多いと言われています。
小回りのきく小さな組織で、ニーズを掘り起こす、すき間を狙うなど、新潟ならではの、新たなビジネスを起こすチャンスかもしれません。
起業や地域活性化に対する支援は、国、県、市町村、商工会議所等のさまざまな制度がありますので、それらをうまく活用して、独立、起業の夢をかなえてみませんか。
コマスマーケティング株式会社 代表取締役 今井進太郎さん
プロフィール:長岡市出身。東京のコンサルティング会社に3年間勤務の後に、Uターン。企業の販売・営業を支援するコマスマーケティング株式会社を設立。中小企業診断士。1級販売士。
30歳位には新潟に戻って起業しようと思っていました。でも東京にいると新潟のことはなかなか見えてこないところがあり、都内で3年間働いた後、25歳で思い切って新潟に戻りました。
まず、朱鷺メッセ(万代島ビル)にある「にいがた産業創造機構(NICO)」の創業準備オフィスを借り、1年かけてビジネスプランを練りました。
そこで考えたプランが、子育て家族を応援する「トキっ子くらぶ」です。子育て世代が求める情報と、子育て世代をターゲットとした企業の広報を楽しくマッチングさせるというものですが、これがNICOの「にいがた・ニュー・エジソン育成助成金」の対象となり、今では当社の中核事業に成長しました。
新潟に戻って、さまざまな人との繋がりができてから初めてわかったことなのですが、新潟には全国、または世界に誇れる技術を持った魅力的な企業が沢山あるんですよ。そういう企業をマーケティングの面から支援したいと思っています。
会社を興すことは簡単なことではありません。ですが壮大なプランが必要かというと、そうでもないと思います。まずは小さく始めるといいのではないでしょうか。新潟は行政の支援が充実しています。私が創業時や新事業を展開する際にお世話になったような制度を活用してもらえればいいと思います。
自社の事業ではなくて、中小企業診断士協会の仕事なんですが、新潟市中央図書館(ほんぽーと)で起業・経営相談をしています。気楽に相談に来ていただければと思っています。
ふるさとに戻ってきたわけですから、企業の活性化をお手伝いし、雇用を創出し、地域に貢献していきたいです。行政にお世話になった分、税金もたくさん納めなければいけませんしね(笑)
Q.NPOで働く人ってボランティアじゃないの?
A.いいえ、NPO(Nonprofit Organization:非営利組織)といっても活動するために有給のスタッフがいても構いません。1999年に制定されたNPO法で、出資者や役員への利益の分配は一部禁止されていますが、給与は利益の分配ではなく労働の対価として支払われるものであり、NPOで働くスタッフが給与を得てはいけないというものではありません。
全国では、3万を越える超えるNPO法人(特定非営利活動法人)があり、新潟県内でも480を越えています。中には職員を雇用し、賃金規定、就業規則などが整備されている組織も少なくありません。2005年に(社)新潟県地域総合研究所が、県内に事務所を構えるNPO法人に対して「NPO法人のスタッフ・ボランティア人材ニーズ調査」を行い、有償のスタッフがいると回答があった団体がは53団体でした。
NPOといっても福祉、環境、地域活動からNPOを支援する活動まで分野はさまざま。利潤を追求する組織ではなく、一般の企業が参入しにくい分野を活動フィールドとしているので、高額な給与を望むことは難しいかもしれません。しかし今やNPOなくして地域社会は円滑に機能しなくなっています。ふるさとに貢献できる達成感はおカネで計ることができません。
新潟で働く選択肢のひとつとして、NPOも考えてみませんか?
NPO法人 地域循環ネットワーク スタッフ 長谷川公亮さん
プロフィール:新潟市出身。新潟市内の専門学校で環境教育を学び、卒業後、NPO法人「地域循環ネットワーク」に就職。学校給食の食べ残しなどの再生利用を担当。
学生時代は環境教育を専攻し、小学校へ出前授業に行ったり、酸性雨を調査したりしていました。
もともと「環境」に関心があり、卒業後も学校で習ってきたことを活かしたいと思っていましたが、「酸性雨」や「温暖化」になると、スケールが大き過ぎて、自分でやれることがイメージできませんでした。
そこで、身近な「ごみ」に着目するのが一番だと思うようになりました。そんなとき学校で「地域循環ネットワーク」の求人情報を見つけ、ごみを資源として再生利用する理念や活動に惹かれ、ここで働くことに決めました。
私が担当している「学校給食調理残さ再生利用事業」は、長岡市内の保育園、小・中学校から出る給食の残さ(調理くず、食べ残しなど)を回収し、豚やミンクの飼料として利用しています。育った豚は、再び給食の材料となります。一部ですが食が地域で循環するわけで、長岡市が力を入れている食育にも役立っていると思います。
このほか、飲食店から出るわりばしを回収・分別し、パルプや炭の原料として利用する事業、会員家庭の生ごみを電気乾燥処理機で乾燥してもらい、回収して豚の飼料にして、年に2回肉としてお返しする事業、一般家庭・事業所から出る廃食油を回収し燃料として再生利用する事業など、何もしなければごみとして捨てられるものを再利用しています。
現在、スタッフは6名。給食残さ回収のボランティアさんは25名ほどいらっしゃいます。給食の残さは25人ほどのボランティアの方々が毎日回収に回っており、学校の調理員さんからは調理くずの分別で協力してもらっています。わりばしリサイクル事業では、洗って乾燥してくれる飲食店も多く、回収を手伝ってくれる方もたくさんいらっしゃいます。
環境によいことは、1人で100やるよりも100人で1やる方がいいと言われていますが、ここの活動は、市民挙げての取組なので理想的だと思います。やりがいのある仕事ができていると思います。
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