2023.02.07
新潟市
自分の生活を豊かにするための工夫=ライフハックとして新潟にUIターンし、地方だからこそ実現できる暮らし・多様な働き方を楽しむ「にいがたライフハッカーズ」。
今回ご紹介するにいがたライフハッカーは、佐藤(旧姓:曽我)智恵里さんと夫の佐藤 淳さん。関東と東北という異なる地域で働きながら、新潟県出身という共通点から仲を深めたお二人。2020年に結婚し、現在は新潟市で暮らしています。
離れた地域で暮らしていた二人はどのように出会い、なぜ新潟へのUターンを決意したのか。そしてこれからのキャリアや新潟での暮らしについてどう考えているのか。それぞれの思いを聞いてみました。
1994年生まれ。新潟県新潟市出身。高校卒業後は東京大学文科三類へ入学後、文学部社会学専修へ進学。卒業後、通信会社の福島支店に勤務。その後は転職をきっかけに新潟市へUターンし、夫の佐藤 淳さんと結婚。現在は株式会社ユニークワンの広マーケティング・広報担当として、noteやコラム記事を通して会社の取り組みを社内外へ発信。会社のリード獲得(※)において重要な役割を担っている。
※リード獲得…将来的に顧客となりうるお客様と接点を持つための施策。
1990年生まれ。新潟県村上市出身。高校卒業後は電気通信大学へ進学。同大学の大学院に進学し、光ファイバー応用技術の研究に励む。卒業後は大手通信会社に勤務。茨城支店で2年間勤務し、東京本社へ異動。コロナ禍によりリモート勤務が可能となったのをきっかけに、新潟へUターン。海沿いの自然豊かな町で生まれ育ったこともあり、自然との距離が近い新潟の環境に満足している。
新潟県十日町市出身。高校卒業後は東京の大学へ進学し、就職を機に新潟市へJターン。Webプロモーション会社にて、TwitterやInstagramをはじめとしたSNS運用に従事。その後、自社オウンドメディアのライター、編集者として活動。また、コンテンツディレクターとしてWebサイトやSNSのディレクション業務も担当する。新潟市に移住して一番驚いたことは風の強さ。新潟のおいしいお米と日本酒が大好き。
きら
智恵里さんは東京大学を卒業されていらっしゃいますね。東京大学への進学を決めた理由はなんだったのでしょうか?
智恵里さん
主な理由としては二つあります。一つは、どうせ受験勉強をするなら日本一の大学を目指してみたかったから。もう一つは、進学後に希望の学部を選択するユニークな進路システムに魅力を感じたからです。
受験の段階から入りたい学部・学科を選択するのが一般的な大学の仕組みです。でも東京大学は、学びたい分野をハッキリ決めるのは3年生からなんです。
もともと国際系の学問に関心があったのですが、1、2年生で学んでいるうちに興味が変わるかもと思って。進路を決めるまでに猶予があり、幅広い分野を学べることが自分に合っていると感じ、東京大学を選びました。
きら
3年生になってから学部を決めるなんて、めずらしいですね!実際に智恵里さんはどの学部に進まれたのですか?
智恵里さん
文学部の社会学専修に進みました。もともと興味のあった国際系ではなく、地域社会や地方活性化に興味が湧いてきまして。
大学での学びから興味が変わったのに加えて、上京して環境が変わったことが大きく影響したと思います。上京したことで、新潟の良さを改めて実感しましたし、地方っていいなと思う機会が増えました。
きら
環境が変わったことで、やりたいことや目指したいものも変わったのですね。
智恵里さん
そうですね。それから、同級生は都心の進学校出身者が多かったのですが、育ってきた環境が違うためか、会話の中から地方と都会の格差を感じる場面が多々あり……。
なかでも衝撃だったことが一つあって。私の親は市役所で働いているので、あるとき友人に「うちの親、公務員なんだ」という話をしたら「どこの省庁?」と言われて。とても驚きました。友人の中では、その基準が当たり前なんですよね。
それに対して、なんだかとても悔しい……と思ったことが、地域社会について学ぶ原動力になった気がします。
きら
それはカルチャーショックですね……。
淳さんは、大学ではどんなことを学ばれていたのですか?
淳さん
私は電気通信大学の出身で、光ファイバーを使って効率的に通信をする仕組みや技術を長らく研究していました。大学院へと進み、全国各地の学会発表に行くこともありましたね。
きら
なかなか難しい分野だと思いますが、どうして通信の勉強をすることにしたのでしょう?
淳さん
私は村上市で生まれ育ったのですが、地元にいた当時はインターネット環境がまったく整っていなくて。これが通信に興味を持ったきっかけです。
さらに、地元では過疎化がどんどん進んでいて、徐々に活気が失われる地元を目の当たりにして、「どうすればみんながこの地域で豊かに暮らしていけるんだろう?」ということを考えるようになりました。
将来的に通信インフラを整える仕事で地元に貢献したい、そういう思いから電気通信大学に進学しました。今は東京に本社のある通信会社で働いています。
智恵里さん
実は私が新卒で入社した前職の会社は、彼が今働いている会社で。私も地方創生に興味があることに加え、通信業界は新しいことができそうだなと思って入社したんです。
きら
同じ会社で働かれていたんですね!ということは、お二人は会社で出会われたのですか?
智恵里さん
実は、出会いはマッチングアプリです。メッセージのやりとりをしていたら、たまたま同じ会社で働いていることが分かって驚きました(笑)。
きら
知り合った人がたまたま同じ会社に勤めている方だったなんて、すごい偶然ですね!
智恵里さん
そうなんです、本当に驚きました。
将来的に、結婚して子育てをするなら新潟がいいなとなんとなく思っていて。新潟出身の人との出会いがあればいいなと探していたら、たまたま彼と出会えました。最初は私からメッセージを送ったんですが、当時の私は福島支店におり、福島と東京の遠距離だったので、よく返信してくれたなと思います(笑)。
淳さん
実は私も、いつか新潟に帰りたいなとは前々から思っていました。なので、福島と東京の遠距離でも、新潟出身の方なら大丈夫だろうと思って返信を送りました(笑)。
きら
智恵里さんがUターンを考え始めたきっかけは何だったのでしょうか?
智恵里さん
前職は転勤のある会社だったので、だいたい3、4年目ぐらいが人事異動の時期になります。私も2年目のころに、1個上の先輩たちが異動になるのを見ていたのですが、転勤も伴う異動って人生を大きく変えるんですよね。
20代後半から30代というのはライフイベントも多く、人生においてもかなり重要な時期だと思うんです。その時期に急に異動を告げられて、住む場所も仕事内容も変わるということがこの先も続くのかと思ったら、これは私が求める働き方ではないなと感じて。新潟にちゃんと帰れるように、転職活動をしようかなと思うようになりました。
智恵里さん
あと、彼との出会いもUターンのきっかけの一つでした。結婚を前提にお付き合いを始めたこともあり、将来的にいつかは新潟に戻りたいとか、結婚して子どもが生まれたら新潟で暮らしたいとか、そういう話もしていたので。「じゃあ先に帰ってるね!」といった形で先に私が新潟に移住しました。
きら
ということは、智恵里さんは福島から新潟に移動して、また淳さんとは遠距離だったんですね。
智恵里さん
そうですね。付き合い始めた当初は福島-東京の遠距離で、その後は新潟-東京の遠距離でした。
私が転職して、新潟にUターン移住したのが2020年1月。その年の春ごろから新型コロナウイルス感染症が流行して彼の会社がリモートを推進するようになり、彼は東京の自宅で働いていました。それなら、新潟に帰ってきてもそのまま働けるのでは?と思い、彼も新潟への移住を考え始めました。
淳さん
そうそう。出社する必要がないなら東京に住まなくても大丈夫かと、上司にも相談して。無事、新潟でリモートワークをする許可をいただけました。その年の10月に新潟に帰ってきて、二人で同棲を始めました。
きら
コロナ禍が追い風になって、二人で暮らし始めたのですね。
智恵里さんは、新潟に帰ってこられるとき、悩みや不安はありませんでしたか?
智恵里さん
実は、前職の上司や同僚にはかなり引き止められました。地方で、なおかつベンチャー企業だとどうしても収入が下がります。「生涯年収とか考えたことある?」といった話もされました。また、大手企業だったこともあり女性が働きやすい環境が整っていたので、「そんな会社は他にないよ。もったいないよ」と言われたりもしましたね。
正直ものすごく迷いましたが、自分自身、一度やってみないとどちらがいいか分からないなと思っていたので。「失敗したら失敗したでいいや!チャレンジしてみよう」と思い、転職を決めました。
きら
大学生のころ興味をお持ちだった、地方創生を新潟で実現しよう!という思いもありましたか?
智恵里さん
そうですね。地方創生というと大仰ですが、一番思い入れがある土地は新潟ですし、もっとダイレクトに新潟のためになるような仕事がしたいなとは思っていました。
きら
その転職先として、現在働かれている株式会社ユニークワンを選ばれたのですよね。決め手はどんなところでしたか?
智恵里さん
ユニークワンの事業内容(Webマーケティング支援・Webメディア運営)が業界全体で市場が伸びていることと、社長や社員の方と話をした際、物事の考え方やキャリア観が近いと感じたこと、決め手はこの2点ですね。「地方のIT化をリードする」というミッションにも非常に共感しています。
きら
現在ユニークワンでは、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
智恵里さん
自社のリード獲得と認知度アップに関わる業務全般を担わせていただいていますね。具体的な業務をあげると、会社サイトの自社コラム・note記事・プレスリリースの執筆、セミナー開催など。入社してちょうど3年になります。
きら
淳さんも、いつか新潟に帰りたいと思っていたんですよね。その理由は何でしたか?
淳さん
純粋に「新潟が好き」という気持ちと、大学を選んだきっかけでもあった「通信で困ってる地方の人たちを助けたい」という思いですね。
実は新卒のころ、新潟の企業もいくつか受けてはいて。ただ、その先のキャリアを考えたときに、まずは大手の会社に入った方がキャリアの幅が広がるなと思いました。
都心や、新潟とは別の地方都市で経験を積んで、新潟には最終的に帰ってこれればいいな、と。そういった理由で、全国転勤がある今の会社を選びました。
きら
実際に新潟の企業で働いてみて、何かギャップを感じたことはありますか?
智恵里さん
大学時代に東京のITベンチャーで2年半ぐらいインターンをしていたので、都内ベンチャーと地方ベンチャー、どちらも経験しています。その経験から言うと、新潟にも優秀な人はいて良い環境もあるのだけれど、新潟はIT人材の市場価値への理解が追いついていないなという印象はありますね。
加えて、能動的に動かないと人と繋がりにくいと感じています。
例えば、新潟だと会社以外の同世代や同業者のコミュニティって、自分から探さないとなかなかないですよね。東京はそもそも人口も会社の数も違うので、そういう機会がずっと多いと思います。新潟だと、自分のキャリアにとってプラスになるような出会いは、自分から求めて初めて得られるものだと思います。
きら
新潟で働いてみて良かったと思うことは、どんな部分ですか?
智恵里さん
そうですね。私がユニークワンの広報担当になってから、会社の問い合わせの数が、以前と比べて約5倍になったんです!大学時代のインターンの経験を活かせたことが大きいのですが、そうやって会社の事業拡大に関わることができることは、とてもうれしく思っています。
きら
自分の仕事が会社の成長に繋がるという感覚が、大きなやりがいを生み出しているのですね。
智恵里さん
そのとおりだと思います。これまでは「通信大手の〇〇という会社の曽我です」「東京大学の曽我です」と言うと、所属する組織のネームバリューで評価いただくことがほとんどでした。これからは、一個人として「曽我さんすごいね」と言われたいな、と。自分の市場価値を高め、どこへ行っても通用する人になりたいです。
きら
東京から新潟へとUターンする際、会社の待遇などを気にされる方は多いと思いますが、そのあたりは実際どうでしたか。
智恵里さん
会社にもよると思うのですが、私の場合は大手企業からUターンしてきたこともあり、そこと比べるとどうしても給与面は低くなりました。
しかし、そこはある意味折り合いをつけるしかないというか。待遇の部分を比べたら多少下がるとしても、生活の質の面では満足しています。自然が近い、食べものがおいしい、家族に会いにいきやすい、地元の友人と気軽に集まれるなど、お金や数字じゃない部分が豊かになったと感じています。
きら
淳さんは、仕事以外の面で新潟に帰ってきて良かったと思うことはありますか?
淳さん
自然との距離が近いところです。ふと海や温泉に行きたいと思ったときにも、車があればだいたいの場所へ気軽に行けるところはうれしいですよね。
また、生活面でもそこまで不便を感じないのも魅力です。たしかに東京の方が便利だと感じる場面は多いですが、新潟でもある程度のものは揃えられます。今は通販も発達していますしね。
人混みが苦手な私は、正直、東京にずっと住み続けられる自信はありませんでした。
きら
お二人は、アルビレックス新潟の試合観戦にもよく行かれるのですよね。
智恵里さん
はい。これは新潟に帰ってきて、一番変わったことかもしれません。
初めて試合観戦に行ったのは2021年5月。正直サッカーには全く興味がなかったのですが、Twitterでみんなが盛り上がっていることに気付いて興味をもち始めました。
淳さん
私は中学・高校時代はサッカー部に所属していたので、サッカーには興味があり、アルビレックス新潟の試合もときどき応援に行っていました。
あるとき妻から「楽しそうだから私も行ってみたい」と言われ、いっしょに観戦に行ってから、二人で本格的にハマってしまいましたね。それからはシーズン中、ホーム戦はほとんどビッグスワンに行っていましたし、アウェイ戦も欠かさずテレビで観戦。サッカー漬けの日々でしたね(笑)。
きら
以前Twitterで拝見しましたが、結婚式の前撮り写真もビッグスワンで撮影されていましたよね!
智恵里さん
そうそう。実は、ビッグスワンは平日に一般開放もされているので、記念にそこで前撮りをさせていただくことにしました。
当日写真撮影をしていたら、元アルビレックス新潟の選手がたまたまいらっしゃって、いっしょに写真を撮ってもらいました。最高の記念になりましたね。
きら
アルビレックス新潟のファンになったことで、地元愛が強くなったりもしましたか?
智恵里さん
それはあるかもしれないですね。アルビレックス新潟の選手は、新潟出身じゃない方であってもみんな新潟が好きで、チームのために一生懸命に闘ってくれるんです。地元愛を感じられるまちの代表を、毎週応援できるっていいなと思いますね。
きら
最後に、これから新潟へのUIターンを考えている人に向けて、何かアドバイスがあればお願いします!
智恵里さん
今はリモートで働くこともできる時代です。待遇面に不安が残る方であれば、彼もそうですが、東京の会社に所属しながら新潟で働ける職種や会社を選ぶのもいいと思います。
また、あまり深く考えずに地元に戻ってきてもいいんじゃないかなって、最近特に思っています。メディアに取り上げられる方って、起業家や、ユニークなキャリアをお持ちの方が多いですよね。
そのため、地元に帰ってくるからにはなにか成し遂げないといけないとか、情熱がないとだめなのではと感じてしまう方もいるかもしれません。でも、ただ海が近いからとか、ゆったりした環境で生活したいからとか、そういう理由で帰ってきてもいいんじゃないかと。人生において大事なのは、仕事や転職だけではないと思うので。
淳さん
そうそう。本当に気軽でいいと思います。新潟に住んで、新潟の経済を回しているという事実だけでも、十分新潟に貢献していますからね!(笑)
「地元に帰りたい」とか、「新潟、良いな」と思ったら、ぜひ気軽に来てみてください。新潟、けっこう楽しいですよ。
自らの生活をより豊かにするために、新潟で暮らすことを選んだ「にいがたライフハッカーズ」。そんな彼らの生活を彩る新潟のモノ・コト・ヒトについて、とっておきの「ニイガタライフハック」をお聞きしました。
今シーズン、見事J2リーグ優勝を果たしJ1リーグに昇格したアルビレックス新潟。シーズン中はほとんど毎週末、2人で試合観戦に熱を入れてきました。声出し応援が可能な席や臨場感を味わえる砂かぶりシートなど、席によって異なる魅力も存分に満喫!
2~3万人の観客が一つのチームを応援する空間は、まさに非日常です。この興奮を味わえるアルビレックス新潟の試合観戦、まだ体験したことのない方にはぜひ味わってみてほしいです。来シーズンの活躍も期待しています!
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