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トピックス

2023.01.23

長岡市

徹底した言語化の先に見つけた、転職なき移住。ストレスフリーな自分らしい暮らし

自分の生活を豊かにするための工夫=ライフハックとして新潟にUIターンし、地方だからこそ実現できる暮らし・多様な働き方を楽しむ「にいがたライフハッカーズ」。

 

今回ご紹介するにいがたライフハッカーは、東京都の企業に在籍しながら長岡市への移住を実現したWebエンジニアの木下 博貴さん。

 

地元・札幌から上京し、都内でWebエンジニアとしてキャリアを築いてきた木下さんが、いかにして長岡市への移住という選択にたどり着いたのか。「ストレスのない生活を求めた結果、今の環境に行き着いたんです」と語る、そのライフスタイルと考え方について、お話を伺いました。

 

ライフハッカー:木下 博貴さん

 

 

1990年生まれ、北海道札幌市出身。就職を機に上京し、都内企業にてWebエンジニアとして勤務。2020年以降はリモートワークを実現させ、2021年9月に同社に在籍したまま妻と共に長岡市へ移住。現在に至る。

“転職なき移住”という地方移住のモデルケースを多くの人に伝えたいという思いから、自身のブログやSNS、Podcastにて精力的に情報発信を行い、長岡市が運営する移住定住ポータルサイト「長岡のはじめ方」にて公式ブロガーも務める。

私生活では、2022年8月に待望の第一子が誕生。長岡の「ちょうどいい田舎暮らし」を満喫しつつ、仕事に子育てに奮闘中。

 

聞き手:ヌマジリ/沼尻 貞治

 

 

 

小・中・高・大学と、全ての母校が新潟市西区に集約されている地域密着型の経歴。大学卒業後は西区の隣にある中央区の印刷会社に就職。営業、総務部門を経て自社の採用活動や、オウンドメディアのライターを担当。2022年4月、慣れ親しんだ新潟市をついに飛び出し、現在は長岡市にて就労中。新潟の好きなところは「毎日食べても飽きないくらい、おいしいラーメン屋がそろっているところ」。

 

 

体に走る電流のような衝撃。プログラミングに目覚め、就職を機に上京

 

ヌマジリ

木下さんは学生時代を北海道で過ごされているんですよね。どのような学生だったのでしょう?

 

 

木下さん

当時は、何においても計画性がなかったことを覚えています。夏休みの宿題も最終日になってから手を付けて、未完成のまま提出して先生に怒られていましたし(笑)。

 

意識が変わったのは、大学に進学してからです。受講していたプログラミングの授業で「こんなにおもしろい学びがあるのか」と衝撃を受けて。そこで初めて、真剣に向き合いたいと思える学びにであいました。

 

ヌマジリ

プログラミングのどのようなところに魅力を感じたのですか?

 

木下さん

最初はわけが分からず、さほど興味も湧かなかったのですが、あるとき突然「なるほど!」とパズルのピースがはまるような感覚を味わったんです。

 

そこからちょっとおもしろいかも?」と思って勉強を進めていくと、また全然分からない。でも再び「わかったぞ!」と興奮を覚える瞬間がある。

そのなんとも言えぬ心地よさを追い続け、ついには仕事になりました(笑)。

 

ヌマジリ

謎解きのような感覚ですかね?

 

木下さん

そうですね、アハ体験みたいな。分からないことが分かるようになった瞬間がおもしろくて、この道に進もうと決めました。

 

ヌマジリ

就職をきっかけに東京に出られたとお聞きしました。

 

木下さん

そうですね。でも僕のように上京する人は少なくて。このまま地元で働きたいからこそ、勉強を頑張って北海道に残るという選択をする友人の方が多かったです。

 

ヌマジリ

地方の学生は、都心で働きたいから進学を機に上京する、という人の方が多いイメージですが、逆だったのですね。

 

木下さん

北海道は、地元愛の強い人が多い印象ですね。

 

でも僕は当時、北海道が外から見てどんな場所なのかわからなかったですし、一回外に出て知りたいという気持ちがありました。なので「東京に行っちゃえ!」と勢い半分で上京を決めました。

 

 

「嫌なことをやらない」という引き算でたどり着いた“転職なき移住”

 

ヌマジリ

木下さんのブログで、コロナ禍になる前からリモートワークをしていたと拝見しました。出社をやめて、リモートワークを始めたきっかけは何だったのでしょう?

 

 

木下さん

端的に言うと、「嫌なことをやらないため」ですね。

 

Webエンジニアという仕事上、プログラムを置いているサーバーにアクセスする必要があったのですが、そのためにはサーバーが置いてある「サーバールーム」へ行かなくてはならず。トラブルが発生すると、曜日や時間帯問わず、出社を余儀なくされていました。

 

ヌマジリ

IT関係でよく耳にすることのあるトラブルですね……!

 

木下さん

僕は東京の電車移動があまり好きではなくて、この環境に非常にストレスを感じていました。

 

そこで、状況を変えるためにはどうすればいいのかと考えた末に、クラウドを利用すれば遠隔操作で仕事ができると気がついたんです。サーバーをクラウド上に置き、アクセスできる環境さえ整えれば、どこからでも仕事ができるようになるな、と。そこから猛勉強し、クラウドを取り扱う技術力を磨き、クラウドを使って働ける状況を作りました。

 

ヌマジリ

これで、急な出社がある環境から脱却できたのですね。

 

木下さん

そうすると次は、出社しなくても効率的に仕事ができるのでは、と考え始めました。リモートワークが実現できれば、通勤に費やしている時間も必要なくなるじゃないか、と。そうすれば、寝坊しても誰にも怒られないじゃん!って(笑)。

 

ヌマジリ

よく分かります!僕も一時期リモートで働いていた時は、始業開始10分前に起きて、寝間着にワイYシャツ羽織ってWeb朝礼に出てました(笑)。

 

木下さん

そこから、クラウドや遠隔操作に関する技術と知識など、出社しなくても働くことができるような能力を身につけていき、自分の働き方をだんだんとリモートに寄せていきました。

 

ヌマジリ

なるほど。リモートワークがあるからやってみよう!ではなくて、自分がストレスを感じている環境から脱する方法を考え、行動し続けたところ、リモートワークにたどり着いたのですね。それを時代が後から追いかけてきたと。

 

木下さん

そうなんです。その結果、どこにいても仕事ができるようなスキルを身に着けることができました。2020年からは、同じ会社に所属しながら東京でリモートワークを実現することに成功しました。

 

 

ヌマジリ

地方移住を考え始めたのはいつ頃のことでしたか?

 

木下さん

実は最初から「地方移住がしたい」と考えていたわけではなくて、これも「嫌だ」と思うことを減らしたい気持ちから始まったんです。

 

税金はどんどん上がっていく中で、東京は物価や家賃が高く暮らしが窮屈。そこで、最初は「北海道に帰りたいな」と思っていました。

 

ヌマジリ

地元に戻ろうと思っていたのですね。

 

木下さん

はい。給料はこのままに、場所を問わずに働ける環境を実現できないかと真剣に考えながら、並行してそのための準備を行っていました。引き続き自分の技術・能力を高めたり、移住先について、妻と入念な意見交換を行ったり……。

 

妻とは、「こういうところは嫌だね」「こういう暮らしはしたくないね」と、細かい価値観のすり合わせ作業を行い、二人で住みたくない都市の条件を具体的に定めたりもしました。

 

ヌマジリ

なるほど。ここでも「これは嫌だ」という想いから出発して考えていたんですね。

 

木下さん

そんな折、運よく社内で長岡に支社を出すという話が出たんです。会社の動きと個人的なビジョンが合致したので、その機運に乗っかる形で地方への移住を実現しました。

 

ときめきに彩られた長岡の暮らし。「あぁ、間違いなかった」を夫婦で実感

 

ヌマジリ

所属していた会社が地方に支社を出すことになり、そこが新潟県長岡市だったと。実際に住んでみていかがでしょう?

 

木下さん

長岡は、二人で定めた「住みたくない都市の条件」に当てはまらない地域だったからこそ移住を決めたので、移住後の今、「あぁ、間違いなかったね」と声をそろえています。長岡はとても暮らしやすくていいところだと思っていますね。

 

今年8月に子どもが生まれたのですが、子育てという観点からみても、長岡市はとても制度が手厚いんです。医療費の補助や妊娠した方への給付金制度(マタニティライフ応援金)など、非常に助かることが多いです。

 

 

ヌマジリ

暮らしやすさを感じる一方で、生活面でギャップなどはありませんでしたか? 

県外出身の私の知人は、新潟の日照時間の短さに参っていましたが……。

 

木下さん

たしかに、天候については関東とのギャップを感じましたね。でも、長岡で知り合った方が言っていた「新潟はくもり空ばっかりだけど、つまりほぼロンドンだよね」の一言に納得してしまって。そこからはまったく気にならなくなりました(笑)。

 

ヌマジリ

そう言われると、なんだかかっこよく思えてきました!物は言いようですね。言葉の力ってすばらしい。

 

木下さん

東京にいた時は、天気のことすらも気にしていなかったように思います。常に空調の下にいて、晴れなのか雨なのかも気付かない日もあるくらい。

 

長岡市は花火の町だからか、背の高い建物が少なくて空が広いですね。なので季節や天候の変化がダイレクトに届いて、それも心地良さを感じるポイントです。

 

 

ヌマジリ

言われてみると、長岡市は新潟第二の都市でありながらも空を遮るような高い建物は少ないかもしれません。毎年8月に開催される長岡まつり、長岡花火は市民にとって本当に特別ですよね。

 

木下さん

今年初めて参加しましたが、町全体がそわそわするような空気感がありましたね。町を挙げてのお祭りは、東京はもちろん札幌でもあまり味わったことがありませんでした。

 

そうそう、第二の都市であるというところも移住のポイントでした。県庁所在地は開発が進んでいるので、結局は東京に近いような感覚が芽生えてしまうのではないかと思って。

せっかく移住をするのだから、地方のゆったりとした雰囲気を味わいたいと思っていました。日常の中でふと見つけたことや、ローカルなイベントなど、触れたことのない驚きやときめきを求めていたのです。

 

ヌマジリ

驚きやときめきには出会えましたか?

 

木下さん

先日ドラッグストアに行ったら、お米が半額で売られていて「お米が半額なんてあり得るの?」と驚きました。都心の生活では見たことがなかったですね。

 

もっとも衝撃的だったのは、お正月の行事「塞の神(さいのかみ)」。お焚き上げをする焚き火の周りに人が集まって、なぜかみんな釣り竿でスルメを焼いている。ポジティブな意味でのカルチャーショックが、至る所にあってたのしいです。

 

 

徹底した言語化の先に掴んだ、自分らしい暮らし方

 

ヌマジリ

長岡に移住してから、心境やライフスタイルに変化はありましたか?

 

木下さん

少し抽象的ではありますが「人と同じことを真似しても、良い結果は生まれない」と思うようになりました。

 

誰かの真似をするだけでなく、自分で動いて変えていかないとうまくいかないな、と。

そのために僕は、「これは嫌だ」と自分の意思表示をして、今のライフスタイルにたどり着いたんです。

 

ヌマジリ

リモートワークを始めた経緯も、移住検討の際も「これは嫌だ」を減らしていくことがポイントになっていましたね。

 

木下さん

いろいろな媒体で僕の移住経験を話すと「都内の賃金をもって地方で暮らす」というコストメリットが目立ってしまうようで、金銭面だけをみて移住したいと思ってしまう人がけっこう多いんです。地方移住者に対しての補助金制度も数多くありますしね。

 

しかし、その要素だけで移住を決めると、実際に生活を始めてからのギャップで苦労すると思っています。

 

ヌマジリ

木下さんのお話を聞いていると、移住前に自分のライフスタイルの軸を固めておくことが大事なのだと感じます。

 

木下さん

移住前に分析、言語化を続けていった結果として、僕はとても幸せになれました。「こうなりたい」という理想もいいのですが、「こうはなりたくない」と思うところから逆算して言語化をしていく、説明できるように整理していくと、本当の意味での自分らしい生き方ができるのではないかなと思っています。

 

ヌマジリ

理想って、今は手元にないからこそ、想像が抽象的になってしまいますよね。そういう意味では、実感できる「嫌なこと」を起点に置くのは、自己分析の手法としてとても効率的だなと感じます。

 

木下さん

嫌なことややりたくないことを突き詰めていくと、結局自分のやりたいことに繋がるんだなと、身をもって実感しました。

 

また、言語化のおもしろさに気づいたことで、地域の暮らしを一層楽しめていると思いますね。地域の特性や差異、珍しさなど、日常の細やかな恩恵を言葉にする豊かさを知りました。

 

ヌマジリ

我慢をせずに、自分の心地よい生活を求めていくことでひらける感覚がありそうですね。

 

木下さん

「昨日よりマシな今日」を日々積み重ねていけば、1年経ったころには劇的に生活が良くなる。今はそう感じています。

移住を考えている方に、僕から伝えられることがあるとすれば「こうはなりたくない」「こうは生きたくない」という想像を徹底的に言語化しましょうということに尽きますね。それをひっくり返してみると、自分のやりたいことも見えてくると思います。

 

ヌマジリ

移住から1年が経った木下さんですが、次の1年に見据えている目標はありますか?

 

木下さん

僕の経験や考えを発信することで、同じような悩みを抱えている人の背中を押すことができたら嬉しいです。嫌なものは嫌と言える人、そしてそれを回避するために行動する人たちを増やしていきたいなと。それが個人としての今後の展望です。

 

 

 

 

私のとっておきにいがたライフハック

自らの生活をより豊かにするために、新潟で暮らすことを選んだ「にいがたライフハッカーズ」。そんな彼らの生活を彩る新潟のモノ・コト・ヒトについて、とっておきの「ニイガタライフハック」をお聞きしました。

 

おいしいお米と共に味わう、旬の食材たち

 

 

長岡に来て感じたのは、とにかく食が豊かであるということ。お米や日本酒が有名なことは知っていましたが、実際に移住してみたら食材全般の水準の高さに驚きました

 

個人的なおすすめは、アスパラガスと豚肉、そして南魚沼の「天恵菇(てんけいこ)」という大きなシイタケ。そしてそれと一緒にいただくお米は、言わずもがなおいしい。常に食べていたいくらいです(笑)。

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