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ニイガタビト

花ちゃん、おむすびのいえをつくる

2017.01.17 掲載

vol3

ゲストハウスおむすびのいえ オーナー

青柳花子さん

vol3

 新潟市出身。高校卒業後、保育の専門学校に通い、卒業後は新潟市内の幼稚園で3年間勤務。こどもたちと共に成長できる環境は、自然体でいられる職場だったが、次第に変化をしていない自分に気付く。生活に区切りをつけるため退職し、迷いながらも「自分らしく暮らしたい。」そんな思いを抱き始めたころ、粟島に出会う。初めて訪れた粟島は『粟島時間』と呼ばれるゆったりとした時間が気持ちよく、移住したいと思うように。2013年移住し、今年9月ゲストハウス『おむすびのいえ』をオープン!

前回は、粟島に移住してからの生活・気持ちの変化を書きました。
今回は、ゲストハウス開業への道のりを書きたいと思います。"

小さな一歩を踏み出した瞬間

 ソトコトという雑誌を読んでいた時に、「リノベーションをしてゲストハウスをつくる」という記事を見つけました。それが、私が一番影響を受けたゲストハウス「へんぼり堂」です。古民家を自分たちの手で改装している写真には、とてもにこやかな表情が映し出されていて、その表情に惹かれた私は何度もその記事を読み返していました。
 そんな様子を知っていた島の友人が、オープニングイベントがあるという情報を教えてくれました。誰でも参加OK!と書いてある!!「私、東京に行ってくる!」と、すぐにイベント参加ボタンをクリックし、バスの手配をしました。へんぼり堂でのオープニングイベントは、リノベーションに関わった方ばかりでしたので、きっとみなさん「この子は誰だろう・・・」と思っていたことでしょう。イベントにはご近所の方も参加され、参加者と楽しそうにお酒を交わしながら話している姿は、まさに粟島にぴったりだと、胸の鼓動を押さえきれないほど。
 そこで、みんなの前で「粟島からきました!私、粟島でゲストハウスがやりたいんです!」と宣言。小さな一歩を踏み出した瞬間でした。

それでも朝はやってくる

 ちょうどそのタイミングで、粟島では若者会議という取り組みが始まりました。粟島に暮らす20代〜40代の人たちが島の未来について議論する会です。そのときに「ゲストハウスがやりたいです」と発表しました。もちろん、みんなが戸惑うのがわかります。「この子は本気なんだろうか?」と…。私自身も、ここで島民から批難を受けて島を離れなくてはいけなくなったらどうしよう…という不安もあり、歩くことが怖くなったこともありました。回数を重ねるも、自分の思いが伝わらず、悔しくて何度も何度も涙しました。
 それでも朝はやってきます。毎日が気持ちを切り替えての再スタート。粟島には不動産屋さんがありませんので、自分で物件を探さなければいけません。閉業した民宿リストを作ってもらい、島の友人の力を借りながら自分の足で探し歩きます。物件がなかなか見つからず落ち込んでいたときに、今の物件を粟島の方が掛け合って見つけてくれました。真っ暗だった世界が開けたように感じました。

「おむすびのいえ」という結び目

 ゲストハウスの名前は移住前から決めていました。場づくりをするならこの名前しかない!と、温めてきたのが「おむすびのいえ」です。おむすびは日本のソウルフードだと思っています。お弁当、運動会など、食べる相手を思って作るものですよね。映画・千と千尋の神隠しでもおむすびを食べて涙を流すシーンもあるくらい、おむすびにはパワーが詰まっているのだと思っています。ゲストハウスもそんなふうに、来た人がほっとできるようなソウルプレイスになってほしいです。
 また、「結ぶ」という言葉も掛けていて、人と人・島と人…など、今まで出会うことのなかった人達がそれぞれの人生のタイムラインの中で出会い、ほんのわずかな時間でも交流し、さまざまな生き方、考え方に触れてほしいです。もちろん、新たに結ぶことだけでなく、「結び直す」という意味も込めています。そんな結び目のような存在になれるようにと、日々勉強です。

みんなの温かさが心を鍛え直してくれた

 物件の契約まで進み、さて片付け作業だ!と意気込んでいたのも束の間でした。さて、どこから片付けたら良いのでしょう…。「まずは入り口かな。いや、上から片付けよう。やっぱり、整理整頓からかな?」なんて、行ったり来たりを繰り返していたらもうお昼の時間でした。「えー!?なにも進んでないじゃーん!」片付けだけでも果てしなく長い道に感じ、気持ちはすでにどんよりモードに変わりました。
 そんなある日、島の友人が手伝いに来てくれました。どんどん指示を出してくれ、あっという間に入り口がすっきりしました。次の日には、お隣さんが軽トラと大きな袋を持ってきてくれ、そこにどんどん投げ入れます。物で溢れていた空き家に風が通るようになりました。週末になると、「わくわく片付け大作戦!」と名付け、島の友人達が集まってくれました。2階から布団を投げ込み、畳を運び出し、片付いたお部屋を女性陣が掃き掃除。お昼はみんなでおむすびと豚汁を食べます。現場を手伝うことができないからと、移住してからずっとお世話になっている民宿のお母さんが、温かい肉まんを差し入れしてくれました。この時点で既に涙をこらえながらの作業です。数日前までは、半日以上の時間を右往左往していることしかできなかった私。落ち込んでいる場合ではないぞ!と、みんなの温かさが心を鍛え直してくれました。

猛スピードとスローペース

 ある時、若者会議の幹事さん達から、私のゲストハウス作りを手伝おう!というイベントをしないかと提案がありました。イベントには関東に暮らす粟島出身者も参加するという、なんとも大きな話ではありませんか。そこから猛スピードで設計士さんや大工さん、設備屋さん、電気屋さんなどの日程を調整していただきました。
 当日は幹事さんを中心に、島の若者が30名以上も集まってくれ、床を貼ったり・壁紙を貼る作業が進み、一気に内装が変わっていきました。夜の打ち上げでは作業の様子を編集してくれたムービーが流され、もう涙が止まらず、涙腺崩壊状態でした(笑)。
 そんな風に一気に進むこともあるけれど、いつもそういう訳ではありません。毎日おばあちゃんが遊びに来てくれ、そうすると作業はストップします。また作業を始めると、今度は別のおじいちゃんが遊びに…というように、作業はスローペースで進んでいきました。内心焦りもありましたが「こうした憩いの場を作りたかったんだ!」と気付き、おしゃべりを存分に楽しむことにしました。
 さて、次回は最終回です。「おむすびのいえ」オープンを迎え、そしてこれからの粟島生活への思いをお伝えしていきたいと思います。

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