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ニイガタビト

復興とともに(Vol.1)
- 復興の種蒔きは今 -

2010.10.19 掲載

 中越大震災から今月23日で6年を数えます。私たちにとって、決して忘れることはできない甚大な被害を及ぼした震災。被災地では、その歩みや手法は様々ですが、復興を確実なものにするための活動が続けられています。今回は、そうした復興に携わる方にお話をお聞きし、復興の形とその先にあるものを考えます。

きっかけは

 長岡技術科学大学で学生ボランティア組織の立ち上げに関わり、また市町村等の復興計画策定に携わり、その後の復興を確実に成し遂げるため、尽力されている同大学上村靖司准教授にお話をお聞きしました。
 「大学で雪の研究をしていたこともあり、震災直後から、その後、すぐに訪れる冬の雪害が心配でした。消雪パイプは機能するのか、克雪住宅は果たしてこの冬大丈夫なのかと。全国有数の豪雪地帯ですから複合災害が懸念されました。そこで、学生10人と一緒に現地に飛び込み、現況調査を始めました。」

越後雪かき道場へのリンク

学生たちも社会の役に立ちたい

 学生たちをグループ分けし、何の伝手(ツテ)もない中、いきなり現地に飛び込んでいったそうです。「そこで頼りになるのはやはり何十年とその土地に住んでいる地域の方々でした。現場で地元の方から学ぶことが多かったですね。さらに、そこで気づいたことが、自主的にボランティアとして活動していた本学の大学生が意外と多かったこと。学生も何らかの形で社会の役に立ちたいと思っているんですよね。ただ、そういった活動を束ねる組織がない。そこで、学生が継続してボランティア活動ができる組織“ボルト・オブ・ナッツ”を立ち上げました。何かのきっかけで、人の役に立てたという経験を一度すると、また、アクションを起こしたくなるものです。そのきっかけの一つが震災復興だったのかもしれません。」あくまでも学生主導で立ち上げから運営まで行っており、上村准教授は、それをサポートする形で関わって来られました。

計画は“つくるだけ”では意味がない

 上村准教授は、山古志復興新ビジョン研究会委員や旧川口町復興計画検討委員会座長を務めていました。その際に「復興計画を提案して策定して、それで終わりにはしたくないという気持ちがありました。そこで、これらを確実に遂行するため、最後まで付き合おうと決めて今に至っています。重要なのは、誰が何を目指すのかということ。特に、震災後はいいトレンドもそうでないトレンドも加速させるといいます。例えば過疎、高齢化などもそうですよね。復興事例、復興の意義を学びたくなり、かつてマグニチュード7.1を経験した米カリフォルニア州サンタクルーズ市にまで調査に出かけたこともありました。」

雪害は、人間社会が創り出したもの?

 「雪害が全国各地で聞かれますが、かつて雪害はこれほど深刻化していなかったと思うんです。人間社会の問題が、雪が降ることで浮き彫りになっているのです。昭和30年代の豪雪時にも、これほどの雪害とは言われなかった。それが今では急速な過疎化・高齢化、生活スタイルの変化などから、単独作業中の事故、単身世帯のマンパワー不足などが相まって雪害といわれる状況を生み出しているのです。」

越後雪かき道場

 「除雪をどうするかと考えたとき、全国各地から手伝いたいという声が届きました。その一方で手伝ってほしいという地域住民の声も多かった。それなのに、危ない、前例がないということでせっかくの声を形にできなかった。危ないのであれば、雪が降る前に雪に慣れてもらえばいいと、何かあったときにすぐに活動できる体制づくりとして、トレーニングプログラムをつくりました。これが“越後雪かき道場”です。教えてくれる指南役は地元住人。いわば雪かきのプロ。ここでの交流では集落内だけでなくいわゆる“よそ者”が加わり、集落外の人と交流することで、元気をもらうといいます。血はつながっていないのに、血の通うつきあい。人の顔と顔が向き合うからできることですよね。この活動は県外にも展開し、昨年は、近隣の長野、山形のほか、岐阜県でも雪かき道場を開いたほどです。」

復興の種を蒔く

 復興の種蒔きをこれまでにいろいろな形でやってきたそうです。「復興の原点となる震央を探る震源地ハイキング、震源地で“震央米”というブランドを育てたり、体験防災キャンプなどもやってきました。自分たちがお世話になった方々、370億円もの義援金、10万人にのぼるボランティアにできること、それは自分たちの経験・教訓をフィードバックしていくということでした。」
 冬は雪で何もできない時期と思いがちですが、雪を利用したホワイトツーリズムがあると考えたそうです。「雪は、全国どこでも降るわけではないので、希少価値があり、多くの人を呼び込むことができました。雪国ではとかく雪をネガティブなものとして捉えがちですが、雪の降らない地域の人にとっては、一面の銀世界というのは絶好のロケーションなんです。視点を変えればハンディだと思っていたものが強みになるんです。」

復興とともに

 「復興とは、自分たちのアイデンティティを探すこと。それは、未来をみつめるだけではなく、今までの歩みや過去を振り返ることでわかることもあります。あるいは、いわゆる“よそ者”の方との交流で、自分たちの当たり前だった暮らしを見直すことができます。6年間模索しながら続けてきた種蒔きで、自分たちがどう生きていくか見えてきたようです。
 今後の課題は、復興基金がなくなった後の自立的運営、それから集落の存続や復興を支援する人を支援する仕組みなど。これは日本の過疎地域でもいえる課題です。これらに対して、行政でなく、新しい仕組みが必要。その際に、地域のことは地域が考えるのが一番です。」結局、復興の先にある新たな展開とは、日本社会が抱える問題とも言い換えることができますが、それを解決できるのもその地域なのです。

人と違うことは武器に

 学生たちの手応えは、学生がまた来ることで良くわかるといいます。劇場型でなく、体験型で汗をかくことで、そういった手応えはより大きくなるそうです。雪かき道場もリピーターが非常に多いそうです。「学校では人と同じことを学び、人よりちょっと成績がいいと褒められる。でも社会に出た場合、人と違うことができるとそれが武器になる。視野を広げるとここにしかない武器や人と違った個性を探すことができる。また、ネガティブなイメージのものをちょっと違う視点で見てみると、それが個性になったり、それ自体がはっきり見えてくることがあります。視点を変えるためにもいろんな所に出かけてみるといいと思います。あと、視点の違う人と接することも有用です。今の視野を広げて、多くを経験すると、その上で見えてくるものがあるはずです。」(Vol.2へ続く)

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