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ニイガタビト

古さと新しさ ごちゃまぜの魅力
- 新陳代謝するまち「カミフル」 -

2009.03.10 掲載

 東京大学eSUR-SSD研究会が2007年12月に発行した「世界のSSD100 都市持続再生のツボ」(彰国社)という本があります。
イギリス・バーミンガム、デンマーク・コペンハーゲン、オーストラリア・メルボルンなどと並び、日本・新潟市(古町)が取り上げられています。
 郊外への展開でもなく、大規模なスクラップ・アンド・ビルドでもない、普通の街が普通に持続する・・・21世紀のキーワード「サスティナブル」という視点で見た時、古町、特に白山神社から連なる1番町から4番町までの「上古町」は、格別な存在感があり、熱心なファンは親しみを込めて「カミフル」と呼んでいます。
 そんな「カミフル」の魅力を、お客さま、雑誌編集者、働く人、店主など、商店街に関わる方々へのインタビューを通して探ってみました。

幕の内弁当のような街です

金子ボボさん
新潟のお笑い集団NAMARA芸人
 新潟県胎内市(旧中条町)出身。10年間の保育士経験をもつ。

 中条町に住んでたので、古町はあこがれの街でしたね。日野屋(玩具)なんてもう興奮しまくりでした。そんな街で、働けるようになって幸せものですよ。
 今でもあこがれの街だけど、万代が外食だとすれば、古町は家でご飯を食べる感覚。特にカミフルは落ち着けますね。でも、店の人の思いが強くて個性的でしょ、だからタカラ探しもできるんですよ。大人も子どもも楽しめる幕の内弁当みたいな街ですね。
 ボク自身、お世話になっている店が多くて、「ワタミチ」で個展も開かせてもらったし、結婚式の引き出物は「ヒッコリー(スリートラベラーズ)」の手ぬぐいでしょ、ほら、この服もそうですよ。「wa’s style」もいいし、食べるといえば、「ムーラン」の380円ナポリタンなんて信じられないくらいの良心的な価格でしょう。「食の福袋」の企画もいいですよ、またやらないかなぁ。挙げればキリがないですね。個性的だけどアットホームなカミフルに皆さん来てくださ~い。

自分の店をみつける楽しみがありますね

霜鳥 彩さん
「月刊にいがたタウン情報」副編集長
 (株)ジョイフルタウン入社以来、「月刊にいがたタウン情報」の編集に携わる。定番コンテンツ「新潟町歩き」を担当し、県内各地の町を取材する。

 県外の人にカミフルを案内するとおもしろがるんですよ。こんなに新しい店、昔からの店がごちゃまぜにある商店街は珍しいですよね。お客の年齢もさまざま。例えば、食堂『楼蘭』。年配の方もいるけど、若い人も普通に入る、そんな店がいくつもありますよね。街全体のちょっとのんびりした雰囲気もいいです。
 カミフル効果なのか、今、裏通りとか意外なところに若い人たちが店を出し始めたりして、街がおもしろくなっています。
 一方で、テレビショッピングやネット通販で間に合わせてしまうのか、若い人が買い物に行かなくなっていると聞きます。
 モノだけじゃなく、店とか街とか、見て歩くだけでも楽しめます。お店の人は、買わなくてもいいから、まずは入ってほしいって思ってるんですよ。小さな店は最初は入りにくいとは思いますが、気楽に入って、自分のお気に入りの店を見つけてもらえればうれしいですね。

古き良き近所づきあいの残る街

杉本 恵さん
 山形県出身。新潟市内の専門学校(現在は短大)に進学し、卒業後も新潟で暮らす。新潟の良さを多くの人に知ってもらいたいと各種イベントを企画、運営。ベロタクシーのナビゲーターでもある。

 ベロタクシー(自転車タクシー)は、2007年の営業開始からナビゲーター(運転手)をしています。人力プラス電動アシストなので、早歩きより少し早い時速8kmくらいまで出るのですが、私は歩くのと同じくらいの速度で案内しています。視線が低いので歩いていても気づかないような新しい店も発見しますよ。
 会社((株)サイクルシティにいがた)の事務所があるので、カミフルはとっても身近な街です。走っていると、お店の人たちが声をかけてくれます。古き良き近所づきあいが残る暮らしやすい街ですよね。
 一番上に白山神社があって、そこから個性的な店が並んでいます。経営者には年配の人もいて若い人もいて、いい関係が築けているので、商店街としてまとまりがあってしっかりしていると思います。
 個人的に大好きなのが、美谷商店のお弁当です。おばちゃんたちがやっている総菜屋なんですが、揚げたてのメンチカツや唐揚げを詰めたお弁当で、おいしくてボリュームがあるのにワンコイン(500円)ですからうれしいですね。

カミフルだからできたと思います(1)

迫一成さん
 ヒッコリースリートラベラーズ代表。ワタミチ店主。
 福岡県生まれ。新潟大学人文学部卒業。2001年クリエイト集団ヒッコリースリートラベラーズを結成。「日常を楽しもう」というコンセプトに基づき、新潟市上古町の店舗でオリジナル衣類、雑貨等のデザイン・制作・販売を行っている。また、2006年からは元酒屋を利用したパブリックスペース「ワタミチ」の運営も行う。

 最初は、店を持つなんて考えてなかったんですが、クリエイトしたものを常に公開できる場、拠点が必要だと思って、まず西堀ローサのチャレンジショップに1年間出店しました。2003年にこの上古町に店を出したのは、ここの商店街の方々に本当によくしてもらったことが大きいですね。
 出店して思ったのですが、日々交わす挨拶、つきあいなど、商店街で過ごすことってなかなか経験できないことだなぁと、そんな日常を楽しんでいます。
(2)へつづく

カミフルだからできたと思います(2)

(1)からのつづき
 「ワタミチ」を運営したのは、いいもの(元酒屋の趣のある建物)が壊されてしまって後悔したくないと勢いでやった感じですが、カミフルにインフォメーションセンターが必要だと思ったのです。遊びに来た人がワークショップなどに参加して街の思い出づくりができないか、その人たちから街のおもしろさを伝えてもらえないか、そんな実験をしてみました。僕たちを受け入れてくれたこの街への恩返しでもあるんです。こんなことができたのもカミフルだからだと思います。
 この街は、のんびりしていて、いい温度があります。ヨーロッパっぽい豊かさがありますね。それに商店街の人たちが大人の関係性が築けています。このペースで街がゆっくり新陳代謝しながら持続していければと願っています。

商店街の基本理念は「温古知新」(1)

酒井幸男さん
 百貨さかい経営。新潟市上古町商店街振興組合専務理事。
 県や市との調整、老舗と新しい店舗のつなぎ役として信望が厚い

 変革は、若者、よそ者、バカ者が必要だと言われます。若者でありよそ者であるヒッコリースリートラベラーズの迫くんたち県外出身の若者3人が上古町に店を出したので、彼らのような若者の力を活かして、街を活性化させていきたいと思ったのです。
 そこで、2004年に「上古町まちづくり推進協議会」を立ち上げました。まちの分析、まち歩き、他の商店街への視察などを行い、このまま何もしないとどうなるか、何を目標にするか徹底的に話し合いました。
 新潟は、江戸時代、市民自治が確立していたまちで、北前船の入港税などを安くして人、物、情報の行き来を活発にしていました。港の先にあるものをしっかり見据えていたんですね。そういうことから、商店街の理念を「温古知新」としました。
(2)へつづく

商店街の基本理念は「温古知新」(2)

(1)からのつづき
 迫くんたちの協力で「カミフルチャンネル」という「地図新聞」情報誌をつくり、マスコミの取材はもちろんですが、小学生が街のことを調べたいという話にも丁寧に対応するなど、人を受け入れて活性化させたいと考えています。
 商店街で一番困るのは空き店舗です。起業家やU・Iターン者の受入など空き店舗対策に力を入れていますが、商店街にマンションが建って店舗の連続性がなくなることも問題です。商店街の一員であることを自覚してもらい1階は必ず店舗にしていただいています。
 上古町は、白山神社を基点に発展してきました。今後、県政記念館など、白山エリアの文化施設との連携を深め、一体感のあるまちづくりをしたいと思います。3月下旬には工事中のアーケードも完成します。統一看板は出さないなど、カミフルのよさを消さないように配慮しました。是非遊びに来ていただければと思います。

編集後記

 しばらく足が遠のいていた上古町でしたが、今回の取材で何度も通いました。行くたびにおもしろさがじわじわと伝わってきて、噛めば噛むほど味が出てくる「するめ」のような街だと思いました。特にベロタクシーの杉本さんと美谷商店の店先でワンコインの弁当を食べた時、しみじみといい街だなぁと実感しました。
 今回のキーワード「持続再生」は、自然、環境用の言葉だと思っていましたが、都市にも言えるのだと気づいたことは大きな収穫でした。
いつかは自分の店を持ちたいという方、夢を上古町でチャレンジしてみませんか。街の持続再生にぜひ一役買ってもらえればと思います。

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