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ニイガタビト

古里を知ることで生まれる地域愛

2014.02.14 掲載

vol4

恩田富太さん

長岡市在住

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 長岡市新組地区出身。親戚から譲り受けて読んだ司馬遼太郎の小説『峠』に、古里長岡が描かれていたことをきっかけに、遅咲きの郷土愛に目覚める。10年間の東京生活からUターンし、広告デザインなどの仕事の傍ら、御当地伝記マンガ『長谷川泰ものがたり』の制作に参加。
(参加市民活動)
・「郷土の偉人 長谷川泰を語る会」漫画班
・「千桜塾」(若者に向けた郷土史講座)塾長

古里自慢の下地作りを

「新しい働き方」というコラムタイトルを少し広く捉えて、職業とはまた別の“働き”の話をさせていただいてきました。 今も僕は、先輩方に交じって長岡郷土史の市民活動を続けています。先日はアオーレ長岡で「米百俵・八十里越物語展」の企画・実行をお手伝い致しました。これは三条市、加茂市と三市合同のイベントでしたが、郷土史の市民活動が活発な長岡市では特に、市民協働による郷土史普及の成果を反映しようという趣旨があり、児童向けの展示に力を入れました。

 この連載でも記して来たように、古里自慢は若者が地元で働き、生きるモチベーションになり得ます。情緒的な効果に限らず、長岡では経済面でも「米百俵の精神」に代表される濃密な郷土史を地域振興に活用しようとしていますが、それを他の城下町のように長期渡りに有効に行う下地として、住む人たちの興味が絶対に必要です。広告デザイナーとしても考えますが、これは表面的なデザインでどうこうなることではありません。教育に関わることでもありますので、時間をかけて丁寧に進める必要がありますが、当事者 市民としてその価値を呼び掛けて行きたいと思っています。

古里の文化の物語に共感する

 今年が10年目の節目となる、復興祈願の長岡花火「フェニックス」には特別な愛着があります。東京から帰郷したその年に中越地震に遭い、鬱々と過していたことは以前に記しました。そこを脱した切っ掛けが、郷土史の市民活動と、もう一つがフェニックスでした。その夜、10年振りの花火を独りなんとはなく眺めていると、突如として全視野を覆った光のベール!あの感動は忘れられるものではありません。 花火が古里長岡の誇るべき伝統文化であり、郷土史の大要素でもあることは、市民による顕彰活動から後に大林宣彦監督により映画化された「この空の花」にも表現されていました。このように、かつてから古里にあって脈々と現在に繋がる「物語」に共感し感動することも、郷土史の楽しみ方です。

 文化といえば、新潟県は漫画家排出の地でもあります。僕も制作に参加した「長谷川泰ものがたり」は、昔からの文化である郷土史を、新しい文化の漫画で再発信する主旨で制作しました。最近の面白い例として、にいがた総おどりを題材にして出身漫画家が発案し描いた、「がっと‼︎」に注目させていただいています。

お国柄を知ること

 県外から帰郷または移動して来た友人や、そういった人たちと関わる労務士の方から聴くことで、U ターン・Iターン者が地域の中で孤立感を感じてしまうことがよくあるそうです。(これは新潟県に限ることではありませんが)そんな時に、まずその土地の「お国柄」を知ることで、コミュニケーションの悩みが解消されたという経験をよく聴くようになりました。 これもまた郷土史の話になりますが、僕が尊敬する郷土史の先生は、その土地に住む人たちの個性が歴史の中でどのようにして醸成されたのかを話をされます。 そうやって長い歴史を遡って考えると、若い世代や県外出身者からするとちょっと癖があるコミュニケーションにも、時代の情勢や自然環境を生き抜くための必然があったと理解でき、同時にお付き合いのコツも分かってくるそうです。

 例えば長岡人。強い批判精神は、戦争の歴史を省みるところから始まっているとも考えられます。排他的だと言われることもありますが、戊辰戦争で焼かれた街の復興の原動力は、町人が屋敷を切り分けて移住者を招き入れたことにあり、一度打ち解ければとことん親しい気質ともされています。 そんな大昔のことは関係ないよと思われるかもしれませんが、周囲の年輩方を見てみてください。なるほどと思えることがありますよ。

地域コミュニティに少し踏み出してみる

地域のコミュニティを“しがらみ”と嫌うだけではなく、自分と家族を助けてくれるものだと考えることで、僕は古里で生き続けることに積極的になれました。

コミュニティが以前ほどの機能を果たしていない地域、新しく移住者で作られた地域など、状況は違いそれぞれに問題を抱えているとは思います。ですが、ここ でまた自身の被災体験と近年多発する大災害を思い出してみても、助け合いはどこで生活するにも必要ではないでしょうか。 自分を助けてくれるコミュニティに、自分ができることを返し、一人ひとりの協力でより良くなったコミュニティが、さらに一層自分を支えてくれるイメージ。 立場やお金を必要とする特別なことに行動が限られてはならず、どんな小さなことでもいいと思うのです。そこでは、共同作業に参加する喜びもちょっと感じて みたりしながら。 あなたが問題と感じることが、地域が良くなるための課題かもしれません。あなたのアイデアは、地域に新しい盛り上がりを起こすかもしれません。そこで生活 し続けると決めたならば、せっかくなので少し踏み出してみるのも面白いものです。
結びに、この連載の間に越後RYO-MA倶楽部の仲間と始めた下手な俳句をひとつ。

~春風と連れ立ち還る峠越え~

移り変わりのくっきりした四季の楽しみも、新潟県の魅力ですね。

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